HelloWorldで平和な世の中を作る-CEOインタビュー

世界は遠くない。グローバルは地域の中にあることをもっと体感してほしい−。

HelloWorld!を2018年に立ち上げたCEOの野中光。これまで、大学生のキャリア支援に携わったり、地域活性化のコンサルタントを務めたり、多方面でキャリアを積んできた。

そんな野中がなぜ、HelloWorld!を立ち上げ、熱量を注ぐのか。ビジョンと将来像を聞いた。

Q. 2020年、世界は新型コロナウイルスのパンデミックを経験している。海を隔てた地域や国が遠くなった、とさえ感じる人もいるかもしれないが、HelloWorld!として、今の状況をどう捉えているか。

 HelloWorld!にとってはチャンスだと思っている。

 LCCで安く海外に行ける時代になってはいたが、海外は遠くなってしまった。でも、行けないからこそ「海外」の貴重さがわかる。行けた時の幸せ、豊かさを今だからこそ感じられる。自分自身もそれに気づけた。

 そして「海外」の価値をみんなが知った。オンラインで海外と繋がれることになったので“近くなった海外”もある。地域の中にある海外、と繋がれるチャンスも、今だからこそ創出して普及することができると思う。

 コロナを通して気づいたこともあって、この状況を翻って見れば、ここまで世界が一つになることって今までなかった。

世界で一つの課題に向き合う。このまとまりや団結感、感覚は忘れてはいけないものだとも思っている。今後地球の環境を考えることなど、忘れてはいけないと思っている。

Q. 沖縄でHelloWorld!のサービスを立ち上げた。きっかけを教えてほしい。

 高校時代にアメリカへ交換留学に行った。英語は流暢ではなくて、Where are you from? と聞かれてI’m fineといっていたような頃だ。それでも友達がよくしてくれて1年間を楽しく過ごせた。その時の経験と出会った人たちに恩義を感じている。

 20歳のころ旅にも出た。各地で友達ができて、いろんな場所へ案内してもらった。自分は一銭も使わず、旅する経験。その時から「いつか恩返ししたい」と思っていた。

 4年前、JICAの食堂でご飯を食べていた。いつも外国人との出会いを求めて相席していたのだが、そこで出会ったケニアの人に「3ヶ月沖縄にいて、初めて友達ができた」と言われて衝撃を受けた。ショックだった。

 自分は外国の人にお世話になったのに何もできていない。留学にいけなくても外国人は地域にいる。両者をつなげることができるんじゃないかと思った。

 当時、沖縄に住む外国人が108ヵ国から来ていて、旅に出なくても沖縄の中で「まちなか留学」ができると思った。そこからHelloWorldを立ち上げようと動き始めた。

Q.実際にサービスを始めての印象は?

 ホストファミリーが楽しんでいることを聞くと「やってよかった」」と思う。

 始める前はニーズがあるのか不安だった。でも最初にサービスを始めるとFBに投稿した時に60以上シェアされた。自分がやりたいものに反応をもらえたことが人生で初めてで、実際にまちなか留学をした家族からも「やった後に家族が幸せになっている」と聞いてうれしかった。

 ホスト側も日本や沖縄などいろんな文化を教えてもらっていると聞き、外国との繋がりを実際に作れているのを知って感動した。

Q.自身の海外経験がサービスの立ち上げに生かされているか?

 もちろん。いろんな人と出会う、という思いはサービスの根幹に生かされている。

Q.今後、具体的にどのように展開していくのか?

 私の地元・沖縄で始めたサービスを、沖縄県外、海外へと展開していきたいと思っている。アジア圏で言えば台湾や中国、太平洋に浮かぶハワイ、中東のイスラエル…地域を選ばず、どんどん世界へ拡大していきたいと思っている。

Q. 興味のある人たちにメッセージを。

 世界中に各国1人ずつ友達がいることが当たり前になる。そうすれば何をするにも世界を考えられる思考ができる。その価値観を広げていきたい。

 多様な世界を知り、同時に沖縄・日本に住む私たちから日本語や文化を伝えるなど気軽な交流をしてほしい。

 英語を学ぶにしても、意味を持って英語を学ぶ人が増えるといいと思っている。

Q.ずばり、HelloWorld!で実現したい社会は?

 HelloWorld!で行う事業は平和な世の中にするサービスだ。本質は人と人との繋がり。英語を話せるようになりたいなどの外国語学習や習得が主な目的ではない。

 世界各国に1人ずつ友達がいれば、平和は作れると考えている。そしてグローバルは地域の中にある。それに気づいて、地域で1人ずつ世界の友達を作っていくこと。それをHelloWorld!では実現したい。