今回のインタビューにお迎えしたのは、元さいたま市教育委員会教育長としてさいたま市を英語教育日本一に導き、現在は文部科学省 中央教育審議会 外国語ワーキンググループの委員として次期学習指導要領の内容を検討する細田眞由美氏。公立学校の現場から教育行政のトップまでを歩み、一貫して「子ども達の未来のために何が必要か」を問い続けてきた細田氏に、今後の英語教育・国際交流体験活動の今後のあり方やHelloWorld株式会社が提供する各種事業について伺いました。
――教育現場・行政を長年経験した細田さんは、まちなか留学・まちなかENGLISH QUESTをどう捉えているか?
細田氏:私自身、長年英語教師として、また教育行政に携わる一人として、日本の若者に海外留学などの経験をしてほしいと願い続けてきました。
埼玉県では「インターリンクス事業」というプログラムを40年も前から実施していましたが、莫大な予算が必要なこともあり、参加できるのは1校につき数名程度に限られていたのが実情です。多くの自治体で行われている海外短期派遣などの事業も10名程度の参加人数でも1000万円前後の費用がかかってしまい、生徒全体に提供することは叶いません。
その点、「まちなか留学」「まちなかENGLISH QUEST」は画期的です。多額の費用をかけずとも、日本国内で80ヵ国を超える外国籍のご家庭でのホームステイや、外国人との協働学習を行うことができます。これなら多くの子供たちにチャンスがありますし、修学旅行などの学校行事とパッケージ化して提供することも可能です。10代のうちにこうした体験ができるプログラムとして、非常に大きな期待を寄せています。
まちなか留学
あなたの”まち”で世界一周。
関東圏と沖縄に住む外国出身ホストファミリーのお家で、国内留学の機会を提供。
関東と沖縄で、All Englishの異文化体験を提供しています。
まちなかENGLISH QUEST
All Englishの探究型国際交流プログラム。
English Speakerと一緒にミッションをクリアを目指す。
生徒の英語学習意欲を高める探究学習型プログラムを北海道・関東・関西・沖縄で展開。半日〜4日間体験までの豊富なラインナップで、多くの学校に選ばれています。

――実際に子ども達の体験の様子を見た印象は?
細田氏:実際にまちなか留学の様子を見学した際に、ホストファミリーと子ども達が顔合わせするウェルカムセレモニー冒頭では、子ども達が緊張している様子が見て取れました。ところが、対面して少し言葉を交わし始めると、一気に打ち解けていったんです。まるで家族が家へ帰るかのような温かい雰囲気が流れていて、本当に素敵だなと感じました。参加した子ども達たちは、これまで経験したことのない外国文化を肌で感じることになるでしょう。しかし、それを超えたところにある「温かな人間関係」が広がっていくことを予感させる、素晴らしい光景でした。
AIは英語教育のゲームチェンジャー。WorldClassroomは機能の網羅性とオンライン国際交流のパッケージが秀逸
WorldClassroom
世界の教室をつなぐ、英語学習/国際交流プラットフォーム。
中学校/高校を対象にしたEdTechツール。
ICTを活用し、スピーキング練習や海外との国際交流による実践的な英語学習をサポート。生徒の英語力向上に加え、自動化システムによる教員の負担軽減を実現します。
――英語学習・英語教育におけるAIの活用意義は?
細田氏: AIは間違いなく英語学習のゲームチェンジャーになり得る存在です。
これまでの英語学習は『型』を覚えて、それを『反復』するというのがメインでした。AIが登場したことによって、一人ひとりのレベルや興味関心に合わせて、リアルタイムでフィードバックがもらえるようになりました。 これが本当に大きな転換点だと思っています。
今までは、先生がいないとできなかった『対話』や『添削』が、24時間いつでも、自分のペースで、しかも恥ずかしがらずにできる。学習のパーソナライズ化が究極まで進みます。
AIを教育に取り入れることに躊躇している学校や自治体もあるかもしれませんが、それは非常にもったいないことだと思います。もはや「使うか使わないか」ではなく、「いかに使いこなすか」というフェーズに入っています。

――具体的にはどのような活用方法が効果的だと思われますか?
細田氏: 1つは、発音やライティングといった基礎力を高める「筋トレ」のような活用です。もう1つは、AIキャラクターとのチャットを通じて自分の考えを広げていくような、クリエイティブな活用方法です。
何より、授業デザイン全体を変える力があります。40人の学級で教師が一人ひとりにきめ細かく対応するのは物理的に困難ですが、WorldClassroomのような優れたAIアプリを使えば、個別最適化された「1on1」の練習時間を確保できます。その結果として増えた発話量や練習量を土台に、人間(教師やALT)にしかできない役割を授業の中にどう組み込んでいくか。そうした授業を構成する力が、これからの英語教師には強く求められるでしょう。
――数あるAIアプリの中で、「WorldClassroom」の特徴は?
細田氏: 非常にバランスが良い点ですね。文部科学省「AIを活用した英語教育強化事業」を通じて多くのAIアプリを体験してきましたが、WorldClassroomは機能の網羅性が高いと感じます。特に、約70カ国の子供たちと国際交流ができるネットワークが構築されている点は、パッケージとして極めて優秀です。
AIによって基礎的な英語運用力を高め、自信をつけた子供たちが、教室にいながらにして海外の同年代と実際にコミュニケーションを図る。そこで「通じた」「分かり合えた」という喜びを味わえることは、子供たちのモチベーションにとって何物にも代えがたい経験になります。
いち教育現場の課題をいかに乗り越えるか
――現場の負担や予算面での制約を懸念する声について
細田氏: 教育現場には常に多忙感があり、新しいことへの挑戦をためらう気持ちは理解できます。しかし、そうした時こそ「なぜ私たちは教育に携わろうと思ったのか」という本質的な目的に立ち返るべきです。私はよく「具体と抽象の往還」と言いますが、目の前の忙しさ(具体)に流されず、「子供たちにどんな力をつけたいのか」という上位目標(抽象)を最優先に考えるべきではないでしょうか。
予算についても、ただ国からの配分を待つだけでなく、自治体独自の「ふるさと納税」の活用や、教育を支援したいという民間の方々との「共助」の仕組みを考えるなど、乗り越える方法は必ずあります。
――最後に、今後の英語教育の展望についてメッセージをお願いします。
細田氏: これからの時代、AIができるコミュニケーションを前提とした上で、それでも私たちが直接他者と関わることの醍醐味、分かり合える満足感といった「身体性」を伴う経験がより重要になります。
また、これまでの「国際理解」から一歩進んで、半径5メートルの身近なところから自分を表現する「発信力」を育てることが大切です。WorldClassroomのようなツールを効果的に活用することで、教師が子供一人ひとりと向き合う時間を生み出し、未来を生き抜く力を育む好循環を作っていってほしいと願っています。
