まちなか留学は、日本に住んでいる外国人のお宅に行って、その国の料理を一緒に作ったり、ゲームをしたり、日本にいながら異文化体験ができる新しい留学のカタチ。
一般社団法人シェアリングエコノミー協会 代表理事石山アンジュさんが、まちなか留学に参加。1日の留学を通して感じたことを聞きました。
日本にいながら多国籍の家族が増えるのは新鮮でユニークな経験
ー まちなか留学を実際に体験されて、どうでしたか?
もうひとつの家族ができた感覚で、体験を終えた後もまた戻りたいと思いました。
国籍に関係なく、普通の日常生活に溶け込み、一緒にご飯を食べるという経験は、いい意味でこれまでの私の「Cift(シフト)」との取り組みと変わらないという気づきもありました。
コロナ禍で自分自身も世界との距離が離れてしまっていた中で、日本にいながら別の国の「拡張家族」ができていくようなことができるというのは、とても新鮮でユニークな経験でした。
ー ホストファミリーとはどんな1日を送りましたか?
大学生の時は海外でホームステイをした経験があります。学生時代の思い出は一緒に料理をするなど国際交流の体験でした。大人になって「留学」をするのは初めてだったので、学生時代とはまったく違った会話ができたことが面白かったです。
例えば、今のアメリカの政治やウクライナ情勢の中での平和とは何かについて話しました。日本のシェアリングエコノミーの取り組みを紹介する中で、孤独や繋がりの希薄化、コミュニティの在り方など日本における私の課題意識も伝えました。
いろいろ深く話す中で、アメリカとは違う部分と、グローバル化の中で「一緒だね」と共感する部分もあり、興味深かったです。
ホストファミリーも「国を越えた家族を作る」ということを目指してゲストを受け入れていることを聞いて、感銘を受けました。
社会人こそ、多様性の中に身をおき視点を変えて世界をみてほしい
ー まちなか留学は、どんな人におすすめですか。
サステナビリティのフィールドワーク研修をしているような企業に特に合うと思います。SDGsや持続可能性を考えたときに、今の社会は「解決策は見えているのに合意形成ができない」ということが、政治や社会のいろんなことが前に進まない一番の原因だと思っています。あらゆる技術が開発されているのに、人の意識が変わらないから合意形成ができず前に進まない状態になっている。
それを解決するのに一番大事なのは、他者理解です。自分と接点のない人の背景や状況を「自分ごと化」できたり、その視点で考えられたりするかです。それは多様性の中に身を置くことによって鍛えられます。「まちなか留学」によって、自分とは違った視点でどう考えるかを捉えるきっかけになります。
人は情報だけ与えられると良し悪しだけを判断してしまいますが、家族の一員として物事を見たときには見え方が変わってくる。環境問題ひとつをとっても、問題をどう捉えるかを体験できるのはなかなかない機会です。
社会を変えたい、そのきっかけをつかみたいと考える人にはぜひおすすめしたいです。
ー 挑戦してみたいと思う社会人の方にメッセージをお願いします。
物事を別の視点から見ることは、複雑さや難しさを受け入れることでもありますが、その上で世界を考えることが大事だと思います。
今、世界の分断が起こったり、分かりあえないものと分かりあおうとしないという風潮が見えてきています。その中で、白か黒かにはっきり分けられるものではないということを体感する機会はなかなかありません。
特にコロナ禍以降、同質性の高いコミュニティの中で生きているし、インターネット上でも、より自分の関心があるフィルターに入ってそれ以外とはまじわらないことも起こっています。あえて自分が異質であったり、かかわらないところに飛び込んだりして、その視点で物事を考えることは、今の世の中に非常に必要です。社会人のリスキリングにも特に有効だと思います。
あえて異なるものとまじわることで、新しく気づくことはたくさんあります。ぜひ、多様性の中に身を置いてみてください。
まちなか留学ではこれまでに、2歳から80歳までの幅広い年代の方がそれぞれ国際交流を楽しんでいます。体験してみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください!